高齢者になると吸収した栄養素を処理したり、利用する生理機能が成人期に比べて低下してきます。老化は加齢に伴い起こってくる生理的変化であり、それ自体は病気ではありません。しかし、腹筋の筋力が低下して排便が十分に行われなかったり、逆に胃液の分泌が低下し消化・吸収が十分行われないため下痢になったりしやすくなります。
<高齢期の食事のポイント>
歯の変化は早くから起こりそのため十分に食物を噛むことが出来なくなります。唾液の分泌も悪くなり、また味覚も不十分になり、胃腸に負担をかけないために柔らかい食物を選ぶようになります。その結果便秘になりやすくなります。また、消化のよい食物を選ぶことによる偏食に伴い栄養素摂取不足の原因になることもあります。
便秘を避けるためには、毎日規則正しく排便する習慣を身につけ、また、朝冷たい水を飲んだり、腸管を刺激する果物や緑黄色野菜をたっぷり食べることをお奨めします。ただし、ガスを発生しやすいさつまいもや豆類などは大量にとらないほうがよいでしょう。
高齢者の病気は栄養素の過剰摂取による生活習慣病、栄養素不足による感染症や骨粗しょう症などであり、体の代謝機能の低下が原因となる疾患です。そのため、感染症に対する抵抗力をつけるためにも良質なたんぱく質はたっぷりとるようお奨めします。
また、加齢に伴い酵素の分泌が低下するため脂肪の消化は低下してきますが、消化管における脂肪の消化・吸収はそれほど低下しません。しかし、動脈硬化症になったり、高脂血症(血液中のコレステロールや中性脂肪が高い)になりがちなので、動物性脂肪は控え、不飽和脂肪酸の多い魚や植物油をお奨めします。カルシウムは男女とも高齢になると骨からカルシウムが抜けて骨質は薄くなり、骨折する頻度が高くなります。一方、腸管からカルシウム吸収は低下してきます。特に女性は若いうちからたっぷりとることをお奨めします。さらにビタミンの組織内保有量が低下してくると、何となく体調の悪い人が多くなってきます。脂肪摂取量が減少してくるため、ビタミンAの吸収が脂肪とともに行われるため、不足して眼精疲労を起こすこともあります。
身体機能は低下するが、使わなければその老化速度はさらに早まります。低下を防ぐ意味でも無理な運動ではなく、楽しみをもって毎日続けられることが大切です。
いずれも誤った食事によるもので、それを改める必要があります。